「イーサリアムのレイヤー2(L2)とは何?」「ETHを送金するならL1とL2のどちらがいい?」「手数料が安いならL2の方が安全なの?」
イーサリアムを利用していると、Arbitrum、OP Mainnet、Baseなど、イーサリアムのメインネットとは別のネットワーク名を見かけることがあります。
これらは、イーサリアムのレイヤー2と呼ばれるネットワークの例です。
レイヤー2とは、イーサリアムの基盤となるレイヤー1(L1)の外側で取引を処理し、L1の仕組みを活用して処理能力を拡張する技術です。
L2では、ETHやトークンの送金、分散型アプリケーションの利用などを、L1より低い手数料で行える場合があります。
ただし、L2には独自のネットワークや運営上のリスクがあります。また、L1からL2へ資産を移す際には、対応するブリッジや取引所の送金機能などが必要です。
この記事では、Ethereum公式の情報をもとに、L1とL2の違い、ロールアップの仕組み、手数料が安くなる理由、ブリッジでの資産移動、出金待ちや誤送金の注意点を初心者向けに解説します。
先に結論
- L1はイーサリアムのメインネット、L2はその処理能力を拡張するためのネットワーク。
- 代表的なL2技術には、OptimisticロールアップとZKロールアップがある。
- L2では取引をまとめて処理することで、手数料を抑えられる場合がある。
- 同じETHでも、L1とL2では保有されるネットワークが異なる。
- 資産を移す際は、送金元・受取先の対応ネットワークとトークンを確認する。
- L2にもシーケンサー、スマートコントラクト、ブリッジなどに関するリスクがある。
イーサリアムのレイヤー2(L2)とは?
イーサリアムは、暗号資産の送金やスマートコントラクトの実行に利用されるブロックチェーンです。
多くの利用者が同時に取引しようとすると、ネットワークが混雑し、取引に必要な手数料が高くなることがあります。
そこで、イーサリアムのメインネット以外で多くの取引を処理し、その結果をメインネットへ記録・検証する仕組みが発展してきました。
それがレイヤー2です。
Ethereum公式では、L2を、イーサリアムのL1のセキュリティを活用しながら、L1の外側でトランザクションを処理するスケーリングソリューションと説明しています。
レイヤー1(L1)とは?
L1とは、基盤となるブロックチェーンを指します。
イーサリアムの場合は、イーサリアムのメインネットがL1です。
L1では、ネットワーク参加者が取引やスマートコントラクトの状態を検証し、ブロックチェーンの合意ルールに従って処理します。
L1の取引には、ネットワーク手数料としてガス代が発生します。
利用する人が増えると、混雑状況に応じてガス代が上昇することがあります。
レイヤー2(L2)とは?
L2では、多くの取引をL1とは別の実行環境で処理します。
例えば、利用者がL2上でETHを送金した場合、その送金はL2のネットワークで処理されます。
その後、L2で行われた取引の結果や検証に必要な情報が、一定の仕組みに従ってL1へ送られます。
これにより、すべての取引をL1で個別に処理する負担を減らします。
ただし、L2は単に「取引所が安い手数料を設定しているサービス」という意味ではありません。
ブロックチェーンの処理方法とセキュリティの構造に関係する技術です。
レイヤー1とレイヤー2の違いを比較
L1とL2の違いを、初心者が確認したい項目で比較してみましょう。
| 比較項目 | Ethereum L1 | Ethereum L2 |
|---|---|---|
| ネットワーク | イーサリアムのメインネット | メインネットの外側で動く拡張ネットワーク |
| 取引の処理 | L1上で処理する | 主にL2上で処理する |
| 手数料 | 混雑状況に応じて変動 | L1より低い場合がある |
| セキュリティ | イーサリアムの合意ルールに基づく | L1の仕組みを活用するが、L2固有の条件もある |
| 資産の移動 | L1上のアドレス間で送金 | L2上の送金や、L1とのブリッジなど |
| 主な追加リスク | ガス代、取引ミス、スマートコントラクト等 | シーケンサー、ロールアップ、ブリッジ、出金手続き等 |
| 利用できるサービス | L1対応のウォレット・dApp | 各L2に対応するウォレット・dApp |
例えば、ETHを保有している場合でも、そのETHがイーサリアムのメインネット上にあるのか、L2上にあるのかで、送金・交換に利用するネットワークが変わります。
ウォレットによっては、同じアドレス形式を使いながら、複数のネットワークの残高を切り替えて表示することがあります。
そのため、画面に「ETH」と表示されているだけでは、どのネットワークのETHか判断できません。
レイヤー2はどうやって取引手数料を安くする?
L2の重要な仕組みの一つが、複数の取引をまとめて処理することです。
イーサリアムのL1で各取引を個別に処理すると、取引ごとにネットワーク手数料が必要になります。
一方、ロールアップと呼ばれるL2技術では、多数の取引をL1の外側で実行し、必要な結果やデータをまとめてL1へ投稿します。
そのため、L1へ情報を送るための費用を、多くの取引に分散できる場合があります。
複数の取引をまとめてL1へ送る
例えば、100人がそれぞれ取引を行う場合を考えます。
L1で100件を個別に処理する場合は、それぞれの取引に必要な計算処理やデータの費用が発生します。
一方、L2のロールアップでは、取引をL2側でまとめて実行し、その結果や検証に必要なデータをL1へ送ることができます。
こうした仕組みによって、1件当たりの費用を抑えられる場合があります。
ただし、L1へ送るデータの費用や、L2の運営者が行う処理の費用が完全になくなるわけではありません。
ブロブ(blob)とは?
イーサリアムでは、L2が取引データを効率よくL1へ投稿するための仕組みも導入されています。
その一つが「ブロブ(blob)」です。
ブロブは、ロールアップなどが取引データを掲載するために利用できるデータ領域です。
従来の方法より費用を抑えてデータを投稿できる場合があり、L2の手数料削減につながります。
ただし、ブロブとして投稿されたデータは、L1の通常の履歴データと同じ形で永続保存される仕組みではありません。
ロールアップの状態を長期的に検証するためには、利用する仕組みに応じて、必要なデータの保存や取得も重要になります。
手数料が安いことと、取引全体が安いことは別
L2上の1回の送金手数料がL1より安くても、L1からL2へ資産を移すための費用が発生する場合があります。
また、L2での操作を終えた後にL1へ戻す場合は、引き出しの費用や待機時間も確認する必要があります。
例えば、次の架空の条件を考えてみましょう。
- L1での送金手数料:1回1,000円
- L1からL2への資産移動費用:800円
- L2での送金手数料:1回50円
- その他の費用は考慮しない
L1で1回送金するなら、費用は1,000円です。
一方、L2へ資産を移してから1回送金する場合は、800+50=850円となります。
同じ条件でL2へ移動した後に5回送金する場合は、800+50×5=1,050円です。
これに対して、L1で5回送金する場合は5,000円となります。
| 操作 | 架空の費用 | 注意点 |
|---|---|---|
| L1で1回送金 | 1,000円 | L1のガス代が発生 |
| L2へ移動後に1回送金 | 850円 | L1からL2への移動費用を含む |
| L1で5回送金 | 5,000円 | 5回分のガス代を合算 |
| L2へ移動後に5回送金 | 1,050円 | 元のL1へ戻す費用は含まない |
これらは比較の仕組みを説明するための架空の数値であり、現在のガス代やブリッジ手数料ではありません。
実際には、混雑状況、利用するL2、ブリッジの方式、資産の移動先によって費用が変わります。
少額の取引でL2を利用する場合は、1回の送金手数料だけでなく、資産移動を含めた全体費用を確認しましょう。
ガス代そのものの計算方法は、イーサリアムのガス代とは?計算方法と節約の注意点で解説しています。
ロールアップとは?OptimisticとZKの違い
イーサリアムのL2を理解するうえで重要なのが「ロールアップ」という技術です。
ロールアップは、多数の取引をL1の外側で実行し、その処理結果や検証に必要な情報をまとめてL1へ送る仕組みです。
代表的な方式には、OptimisticロールアップとZKロールアップがあります。
Optimisticロールアップとは?
Optimisticロールアップは、L2側で実行した取引結果が、原則として正しいことを前提に処理する方式です。
ただし、無条件にすべての結果を信用するわけではありません。
誤った処理が行われた場合には、その結果へ異議を申し立てるための仕組みが用意されています。
一般に、異議申立てのための期間を設け、必要な場合に不正を検証します。
そのため、L2からL1へ正式な引き出しを行う際には、異議申立期間が関係する場合があります。
Optimisticロールアップの標準的な引き出しでは、およそ7日間の待機が必要になる方式があります。
ただし、利用するL2や引き出し方法によって条件は異なります。
参考:Ethereum公式「Optimisticロールアップ」
ZKロールアップとは?
ZKロールアップは、L2で実行された取引結果が正しいことを示すために、暗号学的な証明を利用する方式です。
取引結果をまとめ、その結果が所定の計算ルールに従っていることを示す証明をL1へ提出します。
L1側で証明が検証されることで、その結果の正しさを確認する仕組みです。
そのため、Optimisticロールアップのような不正申立期間を前提としない出金処理が可能な方式があります。
ただし、証明の生成やL1での処理には時間がかかる場合があります。
ZKロールアップだから、どのサービスでも即時にL1へ出金できるという意味ではありません。
OptimisticとZKロールアップの比較
| 比較項目 | Optimisticロールアップ | ZKロールアップ |
|---|---|---|
| 正当性の確認 | 原則として正しいと扱い、必要に応じて異議申立て | 暗号学的な有効性証明を検証 |
| L1への投稿 | 取引データや状態に関する情報 | 状態に関する情報と有効性証明など |
| 標準的なL1への引き出し | 異議申立期間による待機がある方式 | 証明検証後に引き出せる方式 |
| 主な技術的課題 | 異議申立て、運用者、待機期間 | 証明生成、システムの複雑さ、運用者 |
| 利用者が確認すること | 出金方法・待機時間・運営権限 | 証明の確定状況・出金条件・運営権限 |
どちらの方式にも特徴と制約があります。
また、同じ分類のロールアップでも、システムの完成度、アップグレード権限、停止時の対応などは異なります。
そのため、「Optimisticだから危険」「ZKだから必ず安全」という単純な比較はできません。
ZKロールアップなら取引内容が秘密になる?
「ゼロ知識」という名称から、ZKロールアップ上の取引がすべて匿名になると思う人もいるかもしれません。
しかし、ZKロールアップで使われる証明技術は、必ずしも利用者の取引履歴を非公開にするためのものではありません。
多くの仕組みでは、取引データや状態に関する情報が公開されます。
したがって、ZKという名前だけで取引の匿名性やプライバシーが保証されるわけではありません。
EthereumのL2にはどんなネットワークがある?
イーサリアムのL2には、さまざまなネットワークがあります。
代表的な例として、Arbitrum One、OP Mainnet、Baseなどがあります。
また、ZK技術を利用するロールアップも複数開発・運用されています。
ただし、各ネットワークの機能や運営体制は変化するため、名前だけで安全性や現在の対応状況を判断しないようにしましょう。
同じL2でも対応サービスは違う
例えば、あるL2では利用できるDeFiサービスが、別のL2では利用できない場合があります。
また、同じ銘柄名のトークンでも、ネットワークによって別のコントラクトで発行されている場合があります。
取引所がETHの送金に対応していても、すべてのL2ネットワークへの送金に対応しているとは限りません。
同様に、受取先の取引所があるL2に対応していても、特定のトークンには対応していない場合があります。
利用するネットワーク名と、そのネットワーク上のトークンの両方を確認する必要があります。
L2とサイドチェーン・別のL1は同じ?
イーサリアム以外のブロックチェーンで手数料が安い場合もあります。
しかし、手数料が安いという理由だけで、それらすべてをイーサリアムのL2と呼ぶことはできません。
別のL1ブロックチェーンは、自身の合意ルールや検証者によってネットワークを運用します。
サイドチェーンも、独自の合意形成やセキュリティの仕組みを持つ場合があります。
一方、ロールアップ型L2は、取引結果の検証やデータの利用可能性などについて、イーサリアムL1の仕組みを活用します。
ただし、L2がどの程度L1のセキュリティに依存できるかは、実装と運営上の条件によって異なります。
すべてのL2が、イーサリアムのメインネットと同じ安全性をそのまま保証されているわけではありません。
L1からL2へETHを移す方法
L1上のETHをL2で利用するには、資産を対応するL2へ移す必要があります。
その方法の一つが「ブリッジ」です。
また、利用する取引所が対象L2への出金に対応している場合は、取引所から直接そのネットワークへ送金できる場合もあります。
どちらの方法でも、送金元と受取先の対応条件を確認することが重要です。
ブリッジとは?
ブリッジは、異なるブロックチェーンやネットワークの間で、資産や情報を移動させるための仕組みです。
例えば、L1にある資産を所定のスマートコントラクトへ預け、L2側で対応する資産を利用できるようにする方式があります。
ただし、すべてのブリッジが同じ方法で資産を移すわけではありません。
流動性提供者が別のネットワーク上で資産を渡す方式などもあります。
また、ブリッジを通じて受け取るトークンが、移動元と完全に同じ性質のトークンとは限りません。
参考:Ethereum公式「ブロックチェーン・ブリッジの紹介」
ブリッジを利用する前の確認手順
具体的な操作画面はサービスによって異なりますが、次の項目は共通して確認する価値があります。
- 目的の確認:L2で何をするために資産を移すのか
- 送金元:現在の資産がどのネットワークにあるか
- 送金先:移動先のL2はどれか
- 銘柄:移動するETHやトークンが対応しているか
- 公式サイト:利用するブリッジのURLが正しいか
- 費用:送金元・移動先で必要なガス代やサービス費用
- 時間:着金見込み、出金時の待機期間
- 確認:移動後のネットワークと受取資産をどこで確認するか
疑問が残る場合は、そのまま資産移動を進めないようにしましょう。
特に、検索広告やSNSで見つけたブリッジのURLを利用する場合は、正規サイトとの照合が重要です。
ETHをL1からL2へ移す具体例
ここでは、イーサリアムL1に0.05ETHを保有している人が、対応するL2へ資産を移したい場合を想定します。
まず、現在のウォレットでネットワークをEthereum Mainnetに切り替え、0.05ETHがL1にあることを確認します。
次に、利用するL2の公式案内から、対応する資産移動方法を確認します。
ブリッジを利用する場合は、送金元をEthereum Mainnet、送金先を対象のL2に設定します。
送る数量を入力するときは、L1で必要になるガス代も確認してください。
移動後には、ウォレットで対象L2へネットワークを切り替え、着金した数量を確認します。
ただし、移動処理の途中で手数料やサービス固有の費用が生じる場合があります。
また、利用するブリッジによって、L2上で受け取る資産の仕組みが異なります。
この例の0.05ETHは説明用の数量であり、特定サービスの最低入金数量や現在の手数料ではありません。
L2からL1へ戻すときは何が違う?
L1からL2へ資産を移す場合と、L2からL1へ戻す場合では、所要時間が異なることがあります。
特にOptimisticロールアップでは、取引結果へ異議を申し立てる期間が設けられているため、標準的な引き出しに待機時間が必要になる場合があります。
Optimisticロールアップの引き出し待ち
Ethereum公式では、OptimisticロールアップからL1への標準的な引き出しについて、異議申立期間がおよそ7日間続く方式を説明しています。
これは、L2上で実行した取引結果が正しいことを確認するための仕組みです。
ただし、実際の引き出し時間はL2の仕様やネットワークの状況によって異なります。
また、L2からL1へ直接出金するのではなく、流動性提供者を利用する別のブリッジを使うことで、待機時間を短縮できる場合があります。
その場合は、流動性提供者やブリッジの条件、手数料、追加リスクを確認する必要があります。
「約7日かかる方式がある」ことと、「すべてのL2出金に必ず7日かかる」ことは違います。
ZKロールアップの引き出し
ZKロールアップでは、暗号学的な証明をL1で検証する仕組みを利用します。
そのため、Optimisticロールアップのような異議申立期間を必要としない出金方式があります。
ただし、証明の生成、L1での確定、サービス独自の処理には時間がかかる場合があります。
ZKという名前だけで、即時着金を保証されたと判断しないようにしましょう。
速いブリッジと標準的なブリッジの違い
速い資産移動を提供するサービスでは、流動性提供者が先に資産を渡し、あとから標準的な引き出しによって精算する仕組みを利用する場合があります。
この場合、利用者の待ち時間を短縮できる可能性があります。
しかし、流動性不足、追加手数料、サービスの運営・スマートコントラクトに関するリスクなどが存在します。
急ぎの資産移動であっても、処理方法を理解せずに別のブリッジを選ばないようにしましょう。
L2への送金で失敗しやすい4つのケース
L2を利用するときに最も注意したいのが、ネットワークの取り違えです。
特に、同じETHという名称や同じアドレス形式が使われるため、初心者には違いが分かりにくい場合があります。
① ETHという名前だけで送金先を決める
ETHはイーサリアムのメインネットだけでなく、対応するL2でも利用できます。
しかし、ETHという名前が同じでも、送金に利用するネットワークが異なれば、受取先の条件も変わります。
例えば、取引所がEthereum MainnetでのETH入金のみ対応している場合、別のL2から送ったETHが正常に反映されない可能性があります。
送金する前に、受取先が指定しているネットワークを確認してください。
② 同じ0xアドレスならどこでも同じと考える
イーサリアムと多くのEVM互換L2では、アドレスが「0x」で始まる同じ形式を使います。
同じウォレットが、L1とL2で同じアドレスを表示することもあります。
しかし、同じアドレスが表示されていることと、同じネットワーク上に資産があることは別です。
例えば、L2上にあるETHは、ウォレットでL1を表示している間は、そのL1残高に含まれない場合があります。
残高を確認するときは、ウォレットが表示しているネットワークも確認しましょう。
③ 対応していないトークンを送る
同じネットワークに対応していても、受取先がすべてのトークンを受け付けているとは限りません。
例えば、L2上で利用できるUSDCには、発行者が直接発行したものと、ブリッジを通じて作られた別のトークンが存在する場合があります。
名称やロゴが似ていても、コントラクトアドレスが異なれば、別のトークンです。
そのため、受取先がネットワークだけでなく、対象トークンにも対応しているか確認する必要があります。
④ L2で手数料に使う通貨が足りない
L2上で送金やトークン交換を行う場合も、通常はネットワーク手数料が必要です。
Ethereum系のL2では、ETHをガス代に使う方式が多くあります。
例えば、ウォレットにL2上のUSDCだけがあり、必要なETHがない場合、USDCを送金できないことがあります。
ただし、手数料に使う資産や支払い方法はL2・ウォレットによって異なります。
「L2だから手数料がゼロ」とは考えず、操作画面で必要な手数料を確認してください。
一般的な送金時の注意点は、仮想通貨の送金方法と確認事項でも解説しています。
L2は安全?知っておきたい5つのリスク
L2は、イーサリアムの処理能力を拡張するための技術ですが、どのL2でも同じ安全性が保証されているわけではありません。
L1とL2の関係に加えて、L2独自の仕組みや運営体制を確認する必要があります。
① シーケンサーの停止・検閲リスク
シーケンサーとは、L2上の取引を受け取り、順序を決め、ブロックや取引のまとまりを作る役割を持つ仕組みです。
一部のL2では、限られた運営者がシーケンサーを管理しています。
その場合、シーケンサーに障害が発生すると、取引の処理が遅れたり、一時的に停止したりする可能性があります。
また、取引の順序を決める権限が集中している場合には、特定の取引を優先したり、処理を拒んだりするリスクがあります。
ただし、L2によっては、L1を経由して取引を強制的に提出する仕組みが用意されている場合があります。
このような機能が実際に利用できるか、どのような条件で動くかはL2によって異なります。
② スマートコントラクトの不具合
ロールアップやブリッジでは、L1上のスマートコントラクトを利用する場合があります。
そのプログラムに不具合があると、資産を引き出せなくなったり、損失が発生したりする可能性があります。
第三者による監査を受けた仕組みでも、すべての不具合が発見されているとは限りません。
監査済みという表示だけで、元本や資産の安全性が保証されるわけではありません。
③ ブリッジの資産管理リスク
ブリッジには、スマートコントラクトに依存する方式や、外部の運営者・検証者に信頼を置く方式があります。
例えば、元のチェーンで資産を預け、別のチェーンで対応するトークンを発行する仕組みでは、元の資産を適切に管理できることが重要です。
ブリッジが攻撃されたり、資産管理に問題が生じたりすると、別のチェーン上のトークン価値にも影響する可能性があります。
また、速い資産移動を提供するブリッジでは、流動性提供者やサービス独自の仕組みに依存する場合があります。
手数料や速度だけでなく、誰が資産を管理しているか確認しましょう。
④ アップグレード権限と運営者のリスク
L2によっては、システムをアップグレードするための管理者権限が存在します。
例えば、スマートコントラクトの更新、運営パラメータの変更、一時停止などが可能な方式があります。
こうした権限は、不具合に対応するために利用される場合がありますが、管理者の判断や不正利用によるリスクにもつながります。
また、重要な変更に時間的な猶予が設けられているか、利用者が退出できる仕組みがあるかも確認事項になります。
ネットワーク名が有名であることだけで、管理権限の分散状況を判断することはできません。
⑤ 出金停止・データ利用可能性のリスク
ロールアップが安全に動作するためには、取引結果を検証するためのデータが利用可能であることも重要です。
必要なデータが取得できなければ、取引結果を独立して確認したり、所定の引き出し処理を進めたりすることが難しくなる場合があります。
また、L2の運営者が停止した際に、利用者がどのような方法でL1へ資産を戻せるかは、仕組みによって異なります。
「イーサリアムを利用したL2」という説明だけで、どのような障害時にも自由に資産を引き出せると考えないことが重要です。
L2を利用する前に確認したい比較ポイント
利用するL2を調べる際は、手数料の安さだけでなく、取引したいサービスと資産管理の条件を確認しましょう。
| 確認項目 | 具体的に確認する内容 |
|---|---|
| 利用目的 | ETH送金、トークン交換、DeFi利用など何をしたいか |
| 対応サービス | 利用する取引所・ウォレット・dAppが対応しているか |
| 資産 | 銘柄・ネットワーク・トークンのコントラクトが一致するか |
| 費用 | 送金、ブリッジ、引き出し、トークン交換の費用 |
| 出金 | L1への引き出し方法、待機時間、手数料 |
| 運営体制 | シーケンサーや管理者の権限、停止時の対応 |
| セキュリティ | 証明方式、スマートコントラクト、データの利用可能性 |
| 記録 | 送金日時、数量、ネットワーク、TxID、手数料を保存できるか |
例えば、取引所から別の取引所へETHを送金するだけなら、両方が同じL2ネットワークに対応しているかが重要です。
一方、L2上でDeFiを利用する場合は、そのサービスのスマートコントラクトやトークン承認のリスクも確認する必要があります。
DeFiの基本については、DeFiとは?分散型金融の仕組みとリスクを参考にしてください。
L2を利用した取引は税金の計算にも関係する?
L2を利用したという理由だけで、暗号資産取引の税務上の扱いが一律に決まるわけではありません。
例えば、本人が保有する暗号資産を別のネットワークへ移す場合と、移動の途中で別のトークンへ交換する場合では、取引の内容が異なります。
また、L2上で暗号資産を別の暗号資産へ交換したり、DeFiで報酬を取得したりする場合は、所得計算が必要になることがあります。
ブリッジを利用した取引についても、元の資産の扱い、受け取ったトークンの性質、交換の有無などを確認する必要があります。
ネットワークが変わったかどうかだけで課税・非課税を決めず、実際に何を送って何を受け取ったのかを記録しましょう。
暗号資産の課税タイミングは、仮想通貨の税金が発生するタイミングでも解説しています。
イーサリアムのレイヤー2に関するよくある質問
Q. レイヤー2はイーサリアムとは別の仮想通貨ですか?
L2は主にネットワークやその処理の仕組みを指す言葉です。
L2によっては独自のトークンが存在しますが、すべてのL2で独自トークンが必要になるわけではありません。
また、L2上でETHを利用できる場合もあります。
Q. ETHを送るならL1よりL2の方が安いですか?
L2上の送金は、L1より手数料が低い場合があります。
ただし、L1からL2へ資産を移す費用や、後からL1へ戻す費用も確認する必要があります。
1回の少額送金だけなら、移動費用を含めた全体のコストで比較しましょう。
Q. L2なら送金手数料は無料ですか?
必ず無料になるわけではありません。
多くのL2では取引を実行するためのネットワーク手数料が必要です。
手数料に使用する資産や計算方法は、ネットワークによって異なります。
Q. 同じETHならL1からL2へ直接送れますか?
L1とL2は別のネットワークなので、原則として対応するブリッジや、L2への送金に対応した取引所の機能などを利用します。
ウォレットや取引所で表示されるネットワークを確認せず、アドレスだけを見て送金しないようにしましょう。
Q. L1とL2でウォレットアドレスが同じなのはなぜ?
イーサリアムとEVM互換のL2では、同じアドレス形式を利用する場合があります。
そのため、同じウォレットに同じアドレスが表示されることがあります。
ただし、資産残高や取引履歴はネットワークごとに確認する必要があります。
Q. Optimisticロールアップの出金には必ず7日かかりますか?
標準的なL1への引き出しでは、およそ7日間の異議申立期間が関係する方式があります。
ただし、すべてのL2で同じ条件とは限りません。
また、流動性提供者を使う別の資産移動方法では、待機期間を短縮できる場合がありますが、費用や追加のリスクがあります。
Q. ZKロールアップは取引内容が匿名ですか?
ZKロールアップの証明技術は、必ずしも取引の匿名化を目的とするものではありません。
取引情報が公開される仕組みもあるため、ZKという名称だけで匿名性が保証されるわけではありません。
Q. L2はイーサリアムのL1と同じくらい安全ですか?
L2はL1の仕組みを活用しますが、シーケンサー、スマートコントラクト、管理者権限、データの利用可能性などに関する独自のリスクがあります。
すべてのL2が同じ安全性を備えているわけではありません。
Q. L2上で取引した履歴はどこで確認できますか?
利用したL2に対応するブロックエクスプローラーで、取引履歴を確認できる場合があります。
トランザクションID、送信元・送信先アドレス、数量、手数料、ネットワークを確認しましょう。
取引所内の処理とブロックチェーン上の処理が別の段階になっている場合もあるため、取引所の履歴も合わせて確認してください。
まとめ|L2は手数料だけでなくネットワークと安全性を確認しよう
イーサリアムのレイヤー2(L2)は、L1の外側で取引を処理し、L1の仕組みを活用して処理能力を拡張するネットワークです。
代表的な技術には、OptimisticロールアップとZKロールアップがあります。
L2では取引手数料を抑えられる場合がありますが、次の点に注意が必要です。
- ネットワーク:L1とL2は別のネットワークであり、同じETHでも保有場所が異なる
- 手数料:L2のガス代だけでなく、資産移動や引き出しの費用も考える
- ブリッジ:対応資産・公式URL・送金先の条件を確認する
- 引き出し:利用するL2の方式によって待機時間が異なる
- 安全性:シーケンサー・管理者権限・スマートコントラクトなどのリスクがある
- 記録:利用ネットワーク、資産数量、取引履歴、手数料を保存する
まずは利用したい取引所やウォレットが、そのL2と対象トークンに対応しているか確認しましょう。
L2を理解するために、実際にETHを送金する必要はありません。仕組みと資産移動の条件を確認してから利用を判断することが大切です。
イーサリアム自体の仕組みを知りたい方は、イーサリアムの基礎知識を参考にしてください。
ネットワーク手数料の計算方法については、イーサリアムのガス代の仕組みで詳しく解説しています。

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