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仮想通貨の損益計算方法|複数取引所・総平均法・移動平均法を具体例で解説

「仮想通貨を何回も売買したけれど、年間の利益が分からない」「取引所を2つ使っている場合、損益はどう計算するの?」

仮想通貨(暗号資産)の損益計算では、売却代金から購入代金を単純に差し引くだけでは、正しい所得を求められない場合があります。

特に、同じBTCを複数回購入した場合や、取引所から自分のウォレットへ送金した場合は、取得価額と保有数量を整理する必要があります。

結論として、仮想通貨の年間損益は、取引履歴を集め、銘柄ごとに取得原価を計算し、年間の売却・交換などの収入から差し引いて求めます。

この記事では、国税庁の公式資料をもとに、複数取引所のデータをまとめる方法、総平均法と移動平均法の具体的な計算、前年・翌年への取得原価の引き継ぎ方を解説します。

税率や確定申告が必要になる条件は、仮想通貨の税金はいくらから?確定申告・計算方法で詳しく説明しています。

この記事で分かること

  • 年間取引報告書と取引履歴のどちらを使うのか
  • 複数の取引所で購入したBTCをどう合算するのか
  • 総平均法と移動平均法で利益がどう変わるのか
  • ウォレットへの自己送金をどう記録するのか
  • 年末に残ったBTCの取得原価を翌年へどう引き継ぐのか

仮想通貨の年間損益を計算する5ステップ

仮想通貨の所得計算は、次の順番で行うと整理しやすくなります。

  1. 取引履歴を集める:利用した取引所・ウォレット・前年の計算記録を確認する
  2. 取引を分類する:購入、売却、交換、報酬受取、自己送金などに分ける
  3. 銘柄ごとにまとめる:BTCはBTC、ETHはETHとして数量・金額を集計する
  4. 取得原価を計算する:総平均法または移動平均法で売却した資産の原価を求める
  5. 年間損益と年末残高を確定する:必要経費を考慮し、翌年へ引き継ぐ数量と取得原価を残す

ここでいう「年間損益」は、保有資産の時価がいくら増減したかではなく、その年に所得計算の対象となる取引から生じた損益を指します。

例えば、100万円で購入したBTCが年末に150万円へ上昇しても、単に保有しているだけなら、通常、その50万円の含み益を売却益として計上することはありません。

一方、BTCをETHに交換した場合は、日本円を受け取っていなくても所得の計算対象になります。

まずは価格の上下ではなく、実際に行った取引を整理しましょう。

最初に集める取引履歴と年間取引報告書

損益計算を始めるときは、現在利用している取引所だけでなく、対象年に利用したすべてのサービスを確認してください。

前年以前に購入した暗号資産を保有している場合は、その取得原価も必要です。

年間取引報告書に記載される主な項目

国内の暗号資産交換業者では、年間取引報告書を取得できる場合があります。

国税庁が説明している主な記載項目は、次のとおりです。

項目 何を表す? 確認する目的
年始数量 年初に口座で保有していた数量 前年からの残高を確認する
年中購入数量・購入金額 その年に購入した数量と金額 取得原価を計算する
年中売却数量・売却金額 その年に売却した数量と金額 収入金額を確認する
移入数量 購入以外で口座に入った数量 自己送金や報酬などの内容を調べる
移出数量 売却以外で口座から出た数量 自己送金・決済などを区別する
年末数量 年末に口座で保有していた数量 残高の一致を確認する
支払手数料 事業者に支払った手数料 取得原価・必要経費への反映を確認する

注意したいのは、「移入」「移出」がそのまま売却益や購入額を意味するわけではないことです。

例えば、自分の取引所口座から自分のウォレットへBTCを移動した場合、取引所の報告書には移出として記録されても、通常、その移動自体によって売却益が発生するわけではありません。

逆に、報酬として受け取った暗号資産や、暗号資産で商品を購入した取引などは、記載項目だけでは所得計算が完結しないことがあります。

年間取引報告書は計算の出発点であり、すべての取引内容を自動的に判断してくれる資料ではありません。

参考:国税庁「暗号資産等に関する税務上の取扱いについて」2-7~2-9

複数の取引所とウォレットで集める記録

取引所Aと取引所BでBTCを購入した場合、それぞれの年間取引報告書を取得します。

自己管理ウォレットを使っている場合は、ウォレットの送受信履歴も確認します。

さらに、海外取引所、DEX、レンディングやステーキングの報酬履歴など、国内取引所の年間取引報告書に含まれない記録があれば追加してください。

以下の情報を一覧にしておくと、あとから取引を照合しやすくなります。

  • 取引日・約定日・受渡日などの日時
  • 利用した取引所やウォレット
  • 取引の種類と対象銘柄
  • 購入・売却・交換した数量
  • 取引時点の日本円換算額
  • 取引手数料・ネットワーク手数料
  • 送金元と送金先、トランザクションID

取引所からダウンロードしたCSVは、あとから再確認できるように元データを残してください。

表計算ソフトで加工するときは、元ファイルを直接上書きせず、別の集計用ファイルを作ると、計算ミスを確認しやすくなります。

【実例】2つの取引所とウォレットの年間損益を計算する

ここからは、架空の取引例を使って実際に計算してみましょう。

条件は次のとおりです。

  • 個人がBTCを取引している
  • 取引所A・取引所B・自己管理ウォレットを利用する
  • 前年から0.40BTCを保有している
  • 前年末の0.40BTCの取得原価は120万円
  • 今年の購入・売却手数料と送金手数料は、計算を簡単にするため考慮しない
  • 年内にBTC以外の取引は行わない

下表の金額は計算方法を説明するための架空の数値です。実際のBTC価格や運営者の取引実績ではありません。

① 前年末の残高を引き継ぐ

まず、前年12月31日時点の記録を確認します。

前年からの繰越項目 金額・数量
保有数量 0.40BTC
取得原価の合計 1,200,000円
参考取得単価 3,000,000円/BTC

前年末の保有数量と取得原価は、今年の計算の出発点になります。

ここで重要なのは、前年末の時価ではなく、適用する評価方法に従って求めた前年末の取得原価を引き継ぐことです。

例えば、前年末に0.40BTCの市場価値が200万円だったとしても、それだけを理由に取得原価が200万円へ変わるわけではありません。

② 今年の取引を時系列で整理する

今年は、次のような取引を行ったと仮定します。

日付 場所 取引 数量 金額
前年末 取引所A 繰越残高 0.40BTC 取得原価1,200,000円
1月20日 取引所A 購入 +0.20BTC 600,000円
3月15日 A→自分のウォレット 自己送金 0.10BTCを移動 売却代金なし
4月10日 取引所B 購入 +0.40BTC 1,600,000円
6月10日 取引所B 売却 −0.30BTC 1,800,000円
8月8日 取引所A 購入 +0.20BTC 1,400,000円
10月12日 自分のウォレット 売却 −0.10BTC 700,000円

3月の自己送金は、自分の保有資産を別の保管場所へ移動しただけです。送金手数料などを考慮しない今回の条件では、購入数量や売却数量に加えません。

取引所Aから0.10BTCが出ていき、自分のウォレットに同じ0.10BTCが入ったという履歴を残します。

③ 年間の購入数量と売却数量を合計する

まず、今年購入したBTCを集計します。

購入数量は、0.20+0.40+0.20=0.80BTCです。

購入金額は、600,000+1,600,000+1,400,000=3,600,000円です。

次に売却したBTCを集計します。

売却数量は、0.30+0.10=0.40BTCです。

売却代金は、1,800,000+700,000=2,500,000円です。

年間集計項目 結果
前年からの保有数量 0.40BTC
前年からの取得原価 1,200,000円
今年の購入数量 0.80BTC
今年の購入金額 3,600,000円
今年の売却数量 0.40BTC
今年の売却代金 2,500,000円
年末の保有数量 0.80BTC

年末保有数量は、0.40+0.80−0.40=0.80BTCです。

ここまでは、総平均法でも移動平均法でも同じです。

次に、売却した0.40BTCの取得原価を求めます。

総平均法で計算する場合|年間利益は90万円

総平均法は、同じ銘柄について、前年からの繰越原価と今年の取得価額を合計し、取得数量の合計で割って平均取得単価を求める方法です。

この例では、次のように計算します。

① BTCの平均取得単価を求める

前年からの取得原価は120万円、今年の購入金額は360万円です。

取得原価の合計:1,200,000+3,600,000=4,800,000円

前年からの保有数量は0.40BTC、今年の購入数量は0.80BTCです。

取得数量の合計:0.40+0.80=1.20BTC

したがって、平均取得単価は次のとおりです。

4,800,000円 ÷ 1.20BTC=4,000,000円/BTC

この例では、1BTC当たり400万円が総平均法による取得単価になります。

② 年間の売却原価を求める

年間売却数量は0.40BTCなので、売却したBTCの取得原価は次のとおりです。

0.40BTC × 4,000,000円=1,600,000円

売却代金は250万円なので、年間の売却益は次のようになります。

2,500,000円−1,600,000円=900,000円

今回の条件では、総平均法による年間の売却益は90万円です。

③ 年末に残ったBTCの取得原価を求める

年末には0.80BTCが残っています。

総平均法による取得単価は400万円なので、年末保有分の取得原価は次のとおりです。

0.80BTC × 4,000,000円=3,200,000円

この320万円が、翌年へ引き継ぐ取得原価です。

総平均法の計算結果 金額
年間売却代金 2,500,000円
年間売却原価 1,600,000円
年間売却益 900,000円
年末数量 0.80BTC
翌年への繰越原価 3,200,000円

取得原価の合計480万円から、売却した分の原価160万円を差し引くと、年末保有分の原価320万円になります。

つまり、売却原価160万円+年末繰越原価320万円=取得原価の合計480万円という関係が成り立ちます。

計算結果に誤りがないか確認する際は、この関係もチェックしましょう。

移動平均法で計算する場合|年間利益は106万円

移動平均法では、同じ銘柄を新しく取得するたびに、その時点の平均取得単価を計算し直します。

売却時には、その時点で適用される平均取得単価を使って売却原価を求めます。

先ほどと同じ架空の取引を、移動平均法で計算してみましょう。

① 1月の購入後の平均単価

前年から0.40BTC、取得原価120万円を引き継いでいます。

1月に0.20BTCを60万円で購入すると、保有数量は0.60BTC、取得原価の合計は180万円です。

1,800,000円÷0.60BTC=3,000,000円/BTC

1月の購入後の平均取得単価は300万円です。

3月には0.10BTCを自分のウォレットへ移していますが、今回の条件では所有者が変わらない単純な移動なので、全体の平均取得単価は変わりません。

② 4月の購入後の平均単価

4月に取引所Bで0.40BTCを160万円で購入します。

購入後の保有数量は1.00BTC、取得原価の合計は340万円です。

3,400,000円÷1.00BTC=3,400,000円/BTC

平均取得単価は340万円になります。

③ 6月に0.30BTCを売却

6月の売却代金は180万円です。

売却時点の平均取得単価は340万円なので、売却原価は次のとおりです。

0.30BTC×3,400,000円=1,020,000円

6月の売却益は、1,800,000−1,020,000=780,000円です。

売却後の保有数量は0.70BTC、残った取得原価は238万円です。

④ 8月の購入後の平均単価

8月に取引所Aで0.20BTCを140万円で購入します。

購入後の保有数量は0.90BTC、取得原価は次のとおりです。

2,380,000+1,400,000=3,780,000円

新しい平均取得単価は、3,780,000÷0.90=4,200,000円/BTCです。

⑤ 10月に0.10BTCを売却

10月には、自分のウォレットで保有していた0.10BTCを70万円で売却します。

移動した場所がウォレットであっても、同じ銘柄について適用している評価方法に従って原価を計算します。

この時点の平均取得単価は420万円なので、売却原価は次のとおりです。

0.10BTC×4,200,000円=420,000円

10月の売却益は、700,000−420,000=280,000円です。

⑥ 年間売却益と年末原価の合計

6月の売却益78万円と10月の売却益28万円を合計します。

780,000+280,000=1,060,000円

今回の条件では、移動平均法による年間売却益は106万円です。

10月の売却後、保有数量は0.80BTCになります。

その時点の平均取得単価は420万円なので、年末保有分の取得原価は次のとおりです。

0.80BTC×4,200,000円=3,360,000円

時点 保有数量 平均取得単価 売却益
前年末 0.40BTC 300万円/BTC ―
1月購入後 0.60BTC 300万円/BTC ―
4月購入後 1.00BTC 340万円/BTC ―
6月売却後 0.70BTC 340万円/BTC 78万円
8月購入後 0.90BTC 420万円/BTC ―
10月売却後 0.80BTC 420万円/BTC 28万円

このように、総平均法と移動平均法では、同じ年間取引でも所得金額が異なる場合があります。

総平均法と移動平均法は自由に選べる?

今回の例では、年間の売却益が次のようになりました。

項目 総平均法 移動平均法
年間売却代金 250万円 250万円
売却原価 160万円 144万円
年間売却益 90万円 106万円
年末保有数量 0.80BTC 0.80BTC
翌年への繰越原価 320万円 336万円

売却益だけを見ると、今回の例では総平均法の方が少なくなっています。

しかし、税額が低くなる方を毎年自由に選び直せるわけではありません。

国税庁によると、暗号資産の評価方法は銘柄ごとに選定し、初めて取得した年などには所定の期限までに届出を行う必要があります。

届出を行わなかった場合、個人の評価方法は総平均法になります。

また、いったん採用した評価方法を変更する場合は、原則として変更しようとする年の3月15日までに変更承認申請書を提出し、承認を受ける必要があります。

したがって、前年まで総平均法だった人が、今年の計算結果を比較して突然移動平均法に切り替える、といった処理はできません。

自分がどちらの方法を採用しているか、過去の届出と計算書を確認しましょう。

参考:国税庁「所得税の暗号資産の評価方法の届出」

年末の取得原価は翌年にどう引き継ぐ?

仮想通貨の損益計算は、その年だけで完結するとは限りません。

年末に暗号資産を保有している場合は、翌年の取得原価計算へ引き継ぐ必要があります。

例えば、先ほどの総平均法の例では、年末に0.80BTC、取得原価320万円が残りました。

翌年、BTCを追加購入せず、そのうち0.20BTCを110万円で売却したと仮定します。

翌年の取得単価は、追加取得がないこの例では400万円/BTCです。

売却原価は次のとおりです。

0.20BTC×4,000,000円=800,000円

売却益は、1,100,000−800,000=300,000円です。

残る0.60BTCの取得原価は240万円になります。

移動平均法を適用していた場合は、前年末の取得原価が336万円、平均取得単価が420万円です。

翌年に同じ0.20BTCを110万円で売却すると、売却原価は84万円、売却益は26万円となります。

いずれも手数料や追加取引がない場合の例です。

前年末の数量だけでなく、前年末の取得原価もセットで保存することが重要です。

複数取引所のBTCを別々に計算してはいけない?

損益計算では、取引所ごとの残高管理と、同じ銘柄の取得原価計算を分けて考える必要があります。

例えば、取引所Aで高い価格でBTCを購入し、取引所Bで安い価格でBTCを購入したとします。

その後、取引所AのBTCだけを売却したからといって、Aで購入した金額だけを譲渡原価として使うとは限りません。

個人が総平均法・移動平均法を適用する場合、同じ種類の暗号資産について、各取引所の履歴を合わせて評価する必要があります。

取引所A・B・自己管理ウォレットにあるBTCは、それぞれ残高を管理しつつ、同じ銘柄の取得数量と取得価額をまとめて計算します。

一方、BTCとETHは別の暗号資産なので、取得価額をまとめて平均することはありません。

BTCの取得原価はBTC、ETHの取得原価はETHとして管理してください。

自己送金を二重計上しないための確認表

記録 残高への影響 取得・売却として扱う?
取引所Aで0.10BTC購入 Aで+0.10BTC 購入として記録する
Aから自分のウォレットへ0.10BTC移動 Aで−0.10BTC、ウォレットで+0.10BTC 単純な自己移動は購入・売却にしない
ウォレットから取引所Bへ0.10BTC移動 ウォレットで−0.10BTC、Bで+0.10BTC 単純な自己移動は購入・売却にしない
Bで0.10BTC売却 Bで−0.10BTC 売却として記録する

この例では、自己送金が2回ありますが、購入は1回、売却は1回です。

送金手数料を暗号資産で支払った場合や、途中で別のトークンへ交換した場合などは、別途確認する必要があります。

取引履歴を取り込んだ際、送金元では「出金」、送金先では「入金」と表示されても、その表示だけで課税関係を決めないようにしましょう。

BTCをETHに交換した場合の記録方法

暗号資産同士の交換では、渡した暗号資産の譲渡損益と、受け取った暗号資産の取得原価を両方記録します。

例えば、BTCを交換して、時価12万円相当のETHを受け取ったとします。

交換したBTCの取得原価が8万円、手数料がない場合、BTCについての所得計算は次のとおりです。

120,000円−80,000円=40,000円

同時に、受け取ったETHの取得価額として12万円を記録します。

処理 BTC ETH
交換時に渡したもの 取得原価8万円分を譲渡 ―
交換時の円換算額 12万円相当の収入 12万円相当を取得
所得・取得原価 譲渡益4万円 新しい取得価額12万円

その後、ETHを15万円で売却した場合は、ETHの取得原価などをもとに別途損益を計算します。

ただし、同じETHを以前から保有していた場合は、適用する平均法に従って譲渡原価を求めます。交換で受け取ったETHだけを常に個別原価で売却したものとして計算できるわけではありません。

課税タイミングの詳しい考え方は、仮想通貨に税金がかかるタイミング4選を参考にしてください。

ステーキング・レンディング報酬はどう集計する?

暗号資産を購入せず、ステーキングやレンディングの報酬として取得した場合も、記録が必要です。

国税庁は、こうした方法で暗号資産を取得した場合、原則として取得時点の時価を収入金額に算入すると説明しています。

例えば、報酬として0.01ETHを取得し、その時点の1ETHの時価が40万円だったとします。

取得時の円換算額は、0.01×400,000=4,000円です。

この4,000円は報酬取得時の収入金額の計算対象となり、取得した0.01ETHの取得価額にも関係します。

その後、ETH価格が変動した状態で売却するときには、その売却について別途損益を計算します。

同じ年に複数回報酬を受け取った場合は、受取日時・数量・時価をそれぞれ保存しておきましょう。

サービスの管理画面に表示された「累計報酬」だけでなく、実際の取得時点や付与条件を確認することが大切です。

手数料は取得原価と必要経費を分けて処理する

取引手数料は、発生した場面によって税務上の処理が異なる場合があります。

国税庁は、暗号資産を購入する際に支払った購入手数料について、取得価額に加えることを説明しています。

例えば、BTCを10万円で購入し、購入手数料が500円だった場合、取得価額は原則として10万500円です。

一方、暗号資産の売却手数料などは、所得計算上の必要経費として扱われる場合があります。

購入時の手数料を取得原価へ含めているにもかかわらず、同じ手数料を売却時の必要経費として再度差し引かないようにしてください。

また、ネットワーク手数料については、送金の目的や支払方法によって扱いを確認する必要があります。

すべての送金手数料を一律に売却の必要経費へ計上できるとは限りません。

取得価額が分からない場合の確認方法

昔購入した暗号資産の履歴が残っていない場合でも、最初から取得価額を0円として計算する必要があるとは限りません。

国税庁は、取得価額や売却価額が分からない場合に確認する資料として、年間取引報告書、銀行口座の入出金履歴、取引所が公表する相場などを挙げています。

まずは、次の順番で確認しましょう。

  1. 以前利用した取引所の取引履歴・年間取引報告書を探す
  2. サービスへ過去の報告書の再交付が可能か問い合わせる
  3. 銀行の入出金履歴と購入日時を照合する
  4. ウォレットのトランザクション履歴と当時の取引記録を確認する
  5. それでも不明な場合は、国税庁の取り扱いを確認して税務署や税理士へ相談する

国税庁は、売却した暗号資産の取得価額を売却価額の5%相当額として取り扱う方法も認めています。

ただし、これは取得原価の計算に関する取り扱いの一つであり、取得価額が分からない場合に必ず5%で計算するという意味ではありません。

また、複数年・複数銘柄にわたって取引している場合は、前年の計算との整合性も確認する必要があります。

損益計算で間違えやすい7つのポイント

最後に、実際の集計で起こりやすい間違いを確認しましょう。

よくある間違い 正しい確認方法
売却代金をそのまま利益として扱う 譲渡原価と必要経費を確認する
取引所ごとに別々のBTC取得単価を使う 同じ銘柄について取得履歴をまとめる
自己送金を売却・購入として数える 送金元と送金先を照合する
前年からの保有資産を忘れる 年初の数量と取得原価を引き継ぐ
交換したときの円換算額を記録しない 渡した資産と受け取った資産を両方記録する
報酬を売却したときだけ記録する 報酬取得時の数量と時価も保存する
購入手数料を二重に経費計上する 取得原価に含めた費用と必要経費を分ける

また、年末時点の暗号資産残高と、集計上の保有数量が一致しているかも確認してください。

数量が一致しない場合は、自己送金、報酬受取、手数料、交換、別ウォレットへの移動などに記録漏れがある可能性があります。

国税庁の暗号資産計算書を使う方法

国税庁は、暗号資産の損益計算に利用できる計算書を公開しています。

総平均法用・移動平均法用の計算書があり、年間取引報告書などをもとに必要事項を入力できます。

利用する際は、次の順番で確認しましょう。

  1. 自分が採用している評価方法を確認する
  2. 対象年の国税庁の計算書を取得する
  3. 前年末の数量・取得原価を入力する
  4. 年間の購入・売却・交換などの金額を整理する
  5. 必要経費を反映する
  6. 所得金額と年末の数量・取得原価を確認する
  7. 翌年のために計算書と元データを保存する

国税庁の計算書を使う場合も、報告書に含まれない取引があれば、別途その取引を計算へ反映する必要があります。

例えば、国内取引所A・Bの年間取引報告書を持っていても、自己管理ウォレットでDEXを使って交換した取引は別途確認が必要です。

参考:国税庁「令和7年分の所得税確定申告の様式・手引き等」

計算が終わったら、所得金額をもとに確定申告の必要性を確認します。

国税庁の確定申告書等作成コーナーでは、一般的な暗号資産取引の雑所得を入力する方法も案内されています。

参考:国税庁「暗号資産の取引に係る収入がある場合」

2026年分を申告する場合は、対象年分の計算書・申告画面が公開された際に、該当する案内を利用してください。

仮想通貨の損益計算に関するよくある質問

Q. 取引所を2つ使っている場合、別々に利益を計算しますか?

取引履歴は取引所ごとに集めますが、同じ種類の暗号資産については、採用している評価方法に従って取得価額を計算します。

取引所AのBTCと取引所BのBTCで、原則として別々の平均単価を維持する計算にはしません。

Q. BTCを購入しただけで、まだ売っていない場合も計算が必要ですか?

購入しただけでは通常、売却益は発生しません。

ただし、後日の売却や交換に備えて、購入数量・金額・手数料などの取得情報を保存する必要があります。

Q. 自分のウォレットに送ったBTCは売却として扱いますか?

所有者が変わらない単純な保管場所の移動だけでは、通常、譲渡による所得は発生しません。

ただし、送金手数料を暗号資産で支払った場合などは、その取り扱いを別途確認してください。

Q. 総平均法と移動平均法は利益の少ない方を使えますか?

毎年、税額が少なくなる方を自由に選べるわけではありません。

評価方法は銘柄ごとに選定し、変更には所定の手続きが必要です。過去に採用した方法を確認しましょう。

Q. 取引履歴が足りない場合はどうすればよいですか?

年間取引報告書の再取得、銀行の入出金履歴、ウォレットの取引記録などを確認します。

それでも取得原価が分からない場合は、国税庁の取り扱いを確認し、必要に応じて税務署や税理士へ相談してください。

Q. 損益計算を間違えて確定申告していた場合は?

申告した税額が不足していた場合は修正申告、税額を多く申告していた場合は更正の請求など、状況によって手続きが異なります。

詳しくは、仮想通貨の税金を申告し忘れたときの対処法を確認してください。

まとめ|仮想通貨の損益計算は前年原価と年間取引をつなげよう

仮想通貨の年間損益を正しく計算するには、次の点が重要です。

  • 取引所・ウォレットごとの記録をすべて集める
  • 購入・売却・交換・報酬・自己送金を区別する
  • 同じ銘柄について適用する評価方法で取得原価を計算する
  • 前年からの数量と取得原価を引き継ぐ
  • 年末に残る数量と取得原価を翌年へ繰り越す

今回の架空例では、同じ取引でも総平均法の売却益は90万円、移動平均法では106万円になりました。

ただし、評価方法を自由に切り替えられるわけではありません。採用している評価方法に従って計算してください。

また、暗号資産の所得と、実際に納める所得税の金額は異なります。

所得税・住民税の申告要件や税額計算については、仮想通貨の税金はいくらから?で確認できます。

この記事は一般的な税務情報です。取引内容が複雑で所得の計算方法を判断できない場合は、国税庁の相談窓口や税理士へ相談してください。

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