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仮想通貨の時価総額とは?流通量・最大供給量・FDVの違いを解説

「仮想通貨は1枚1円なら割安?」「時価総額が大きいほど安全なの?」「FDVや流通供給量は何を表しているの?」

暗号資産(仮想通貨)の価格情報を見ると、1枚当たりの価格に加えて、時価総額、流通供給量、総供給量、最大供給量、FDVなどの数字が表示されています。

これらは、暗号資産の市場規模や供給構造を理解するための指標です。

ただし、1枚の価格が安いから割安とは限らず、時価総額が大きいから安全とも限りません。

また、時価総額が100億円増えたとしても、100億円の現金が新たに流入したことを意味するわけではありません。

この記事では、CoinGeckoなどの公式資料をもとに、時価総額の計算方法、3種類の供給量、FDV、トークンのアンロック、出来高・流動性との違いを具体例で解説します。

数字の計算だけでなく、実際に暗号資産の情報サイトを開いたとき、何をどの順番で確認すればよいかまで紹介します。

この記事の結論

  • 時価総額は、原則として「1枚の価格×流通供給量」で計算する。
  • 1枚1円でも、流通枚数が多ければ時価総額は大きくなる。
  • 流通供給量・総供給量・最大供給量は、それぞれ意味が異なる。
  • FDVは、将来の供給量を考える際の参考指標。ただし計算に使う供給量の定義を確認する。
  • トークンのアンロックで流通量が増えても、価格が必ず下がるわけではない。
  • 時価総額は投資資金の流入額でも、全保有者が売却して受け取れる金額でもない。
  • 大型銘柄でも価格下落・流動性低下・技術的な問題などのリスクがある。

仮想通貨の時価総額とは?計算方法を理解しよう

仮想通貨の時価総額とは、市場で流通していると評価される暗号資産の数量に、現在の単価を掛けた金額です。

英語では「Market Capitalization」、略して「Market Cap」と呼ばれます。

CoinGeckoは、暗号資産の時価総額を次の式で計算すると説明しています。

時価総額=現在の1枚当たりの価格×流通供給量

例えば、1枚100円の仮想通貨が1億枚流通している場合を考えてみましょう。

時価総額は次のとおりです。

100円×1億枚=100億円

1枚の価格が100円でも、流通枚数が1億枚あれば、時価総額は100億円です。

一方、1枚1万円の銘柄でも、流通枚数が1万枚なら時価総額は1億円です。

つまり、1枚の価格だけでは、その暗号資産の市場規模を比較できません。

参考:CoinGecko「What Is Market Cap in Crypto and How Is It Calculated?」

時価総額は価格と流通量の両方で変わる

時価総額を決めるのは、現在の価格と流通供給量です。

そのため、どちらかが変わると時価総額も変わります。

例えば、流通量が1億枚のままで、価格が100円から120円へ上昇した場合を考えます。

変更前の時価総額は100億円です。

変更後は、120円×1億枚=120億円となります。

逆に、価格が100円のままで流通供給量が1億枚から1億2,000万枚に増えた場合も、時価総額は120億円になります。

同じ20億円の時価総額増加でも、価格が上がった場合と、流通供給量が増えた場合では意味が異なります。

ケース 1枚の価格 流通供給量 時価総額
基準時点 100円 1億枚 100億円
価格だけ20%上昇 120円 1億枚 120億円
流通量だけ20%増加 100円 1億2,000万枚 120億円
価格20%下落・流通量20%増加 80円 1億2,000万枚 96億円

この表は計算方法を説明するための架空の例です。実在する暗号資産の価格や供給量を示したものではありません。

特に最後の例では、流通量が増えても時価総額が減っています。

供給量だけでなく、同時に変わる価格を確認する必要があることが分かります。

1枚1円の仮想通貨は、1枚100円より割安なの?

初心者が間違えやすいのが、「1枚の価格が安い銘柄ほど、値上がりの余地が大きい」という考え方です。

しかし、1枚の価格が安いだけでは割安とは判断できません。

例えば、次の架空の3銘柄を比較してみましょう。

比較項目 銘柄A 銘柄B 銘柄C
1枚の価格 100円 10円 1円
流通供給量 1億枚 20億枚 200億枚
時価総額 100億円 200億円 200億円

この例では、銘柄Cは1枚1円ですが、時価総額は銘柄Aの2倍です。

一方、銘柄Aは1枚100円と最も高いものの、時価総額は3銘柄の中で最も小さくなっています。

したがって、1枚の価格が安いことを理由に、時価総額まで小さいと考えるのは間違いです。

1円から100円になるには何が必要?

例えば、銘柄Cが1枚1円から100円になったと仮定します。

流通供給量が200億枚のままなら、時価総額は次のようになります。

100円×200億枚=2兆円

最初の時価総額は200億円でした。

価格が100倍になるには、流通量が一定という条件で、時価総額も100倍の2兆円になる必要があります。

この計算は、2兆円の資金流入が必要という意味ではありません。市場で成立する価格と供給量から計算した評価額です。

ただし、価格100倍を考えるときに、現在の時価総額との比較が役立つことは分かります。

「1円だから100円まで簡単に上がりそう」と感じたときは、目標価格に必要な時価総額を計算してみましょう。

トークンの枚数が多いと割安になる?

発行枚数が多いことも、少ないことも、それだけで割安性を決める要因にはなりません。

価格は市場参加者の売買によって決まり、供給量と需要の両方が影響します。

また、プロジェクトによっては、トークンの単位を変更したり、既存トークンを新しい比率で交換したりすることがあります。

その場合、1枚当たりの価格が変わっても、保有する資産全体の価値が同じ割合で変わるとは限りません。

単価だけでなく、トークンの供給量、用途、権利、取引条件などを確認することが大切です。

流通供給量・総供給量・最大供給量の違い

仮想通貨の情報サイトでは、供給量について複数の数字が表示されています。

特に重要なのは、流通供給量(Circulating Supply)、総供給量(Total Supply)、最大供給量(Max Supply)の3つです。

名前は似ていますが、何を数えているかが異なります。

項目 意味 主な確認目的
流通供給量 市場で流通可能と評価される数量 現在の時価総額を計算する
総供給量 これまでに発行された数量から、バーンなどで永久に除かれた数量を差し引いたもの すでに存在するトークン全体を把握する
最大供給量 その暗号資産のルール上、存在し得る数量の上限 将来の発行上限を確認する

これらの定義は、CoinGeckoが2026年10月に更新した公式の供給量算定基準に基づいています。

参考:CoinGecko「Supply Methodology」

流通供給量とは?

流通供給量とは、現在、市場で一般に流通していると評価されるトークンの数量です。

CoinGeckoでは、総供給量から非流通ウォレットに保有されている数量などを差し引いて計算します。

流通供給量=総供給量−非流通と判定された数量

非流通と判断される資産には、ロック中のトークンや、将来の配布に向けて確保されたトークンなどがあります。

ここで重要なのは、技術的に送金できる状態かどうかだけで決まるわけではないことです。

例えば、財団の資金管理用ウォレットに保管され、将来の開発支援に利用する予定のトークンは、ロック解除済みでも流通供給量から除外される場合があります。

開発チームや大口投資家が保有するトークンについても、公開市場での流通状況や保有目的などによって扱いが異なる場合があります。

したがって、「ロック解除済みの枚数=流通供給量」とは限りません。

総供給量とは?

総供給量は、基本的にすでに発行されたトークンの数量を表します。

ただし、永久に利用できない状態へ移されたバーン済みトークンなどは、計算から差し引きます。

例えば、10億枚のトークンが発行され、そのうち1億枚が永久にバーンされた場合を考えます。

このときの総供給量は、次のとおりです。

10億枚−1億枚=9億枚

残りの9億枚の中には、一般利用者が保有するトークンだけでなく、チーム保有分や未流通の準備資産などが含まれる場合があります。

そのため、総供給量と流通供給量は必ずしも一致しません。

最大供給量とは?

最大供給量は、プロジェクトのルール上、将来存在し得るトークン数量の上限です。

ビットコインでは、約2,100万BTCという供給上限が知られています。

一方、暗号資産によっては最大供給量が定められていない場合があります。

また、情報サイトで最大供給量が空欄の場合、上限が存在しないのか、データが登録されていないのかを区別する必要があります。

最大供給量は、現在市場で売買できる枚数ではありません。

将来の発行ルールを確認するための指標です。

ビットコインの新規発行ペースと供給上限については、ビットコインの半減期とは?仕組みと供給量で解説しています。

流通供給量は実際にどう計算する?

ここからは、架空のトークンを使って流通供給量を計算してみましょう。

あるプロジェクトについて、次の条件を仮定します。

  • 過去に発行した数量:10億枚
  • 永久にバーンした数量:1億枚
  • 現在の総供給量:9億枚
  • チーム向けの未流通分:2億枚
  • 財団の長期保有分:1億枚
  • 投資家向けの未流通分:1億枚

これらの保有分が供給量算定基準に従って非流通と判断された場合、流通供給量は次のようになります。

9億枚−2億枚−1億枚−1億枚=5億枚

項目 枚数
発行済みの累計数量 10億枚
バーン済み −1億枚
総供給量 9億枚
チーム保有の非流通分 −2億枚
財団保有の非流通分 −1億枚
投資家向けの非流通分 −1億枚
流通供給量 5億枚

この例では、10億枚が発行されていても、時価総額の計算に使用する流通供給量は5億枚です。

ただし、これはCoinGeckoの考え方を説明するための架空例です。

実際には、対象ウォレットの保有目的、ロック条件、プロジェクトの開示情報などをもとに、データ提供元が流通供給量を判断します。

アンロック済みでも流通量から除外される場合がある

アンロックとは、トークンを移転・売却するための制限が解除されることです。

例えば、開発チームへ割り当てられたトークンが、一定期間を経過すると移転可能になる仕組みがあります。

しかし、制限が解除されても、保有者がすぐに市場で売却するとは限りません。

CoinGeckoは、チームや財団の長期保有分などについて、アンロック済みでも非流通と判断する場合があると説明しています。

つまり、アンロック予定表の数字を、必ずそのまま流通供給量の増加分として使えるわけではありません。

流通量を比較するときは、使用するデータサイトの算定基準を確認しましょう。

バーンされたトークンはどう扱う?

バーンとは、トークンを永久に利用できない状態にする処理です。

例えば、誰も秘密鍵を持たないバーン用アドレスへトークンを移す方法があります。

CoinGeckoの総供給量の計算では、こうしたバーン済みの数量を控除します。

ただし、バーンによって供給量が減ったからといって、1枚当たりの価格が必ず上昇するわけではありません。

価格には需要や売買状況も影響します。

また、単に長期間動いていないウォレットの残高を、バーン済みと同じように扱えるわけでもありません。

本当に永久に使用不能となったトークンかどうかが重要です。

FDVとは?時価総額との違いを理解しよう

FDVとは、Fully Diluted Valuationの略で、日本語では「完全希薄化後評価額」などと呼ばれます。

現在流通している数量だけでなく、より広い供給量を使って評価した指標です。

現在の時価総額が「いま流通している数量を使った評価」であるのに対し、FDVは「総供給量や最大供給量を、現在価格で評価するとどうなるか」を考える指標です。

ただし、FDVの計算に総供給量を使うか、最大供給量を使うかは、データ提供元の定義によって異なります。

CoinGeckoは、FDVについて総供給量、または該当する場合は最大供給量を利用する考え方を説明しています。

そのため、「FDV=価格×最大供給量」とだけ覚えるのは不十分です。

時価総額とFDVを具体例で比較

ある架空のトークンについて、次の条件を考えます。

  • 1枚の価格:100円
  • 流通供給量:1億枚
  • 総供給量:5億枚
  • 最大供給量:10億枚

まず、現在の時価総額は次のとおりです。

100円×1億枚=100億円

総供給量を使った評価額は、次のようになります。

100円×5億枚=500億円

最大供給量を使った評価額は、次のとおりです。

100円×10億枚=1,000億円

指標 計算に使う数量 評価額
現在の時価総額 流通供給量:1億枚 100億円
総供給量ベースのFDV 総供給量:5億枚 500億円
最大供給量ベースのFDV 最大供給量:10億枚 1,000億円

同じ銘柄でも、計算に使う数量によって500億円と1,000億円という違いが生じます。

この差を無視して、別々の情報サイトに表示されたFDVを比較すると、誤解する可能性があります。

FDVが時価総額の5倍ならどう読む?

先ほどの例では、総供給量ベースのFDVは500億円、現在の時価総額は100億円です。

500億円÷100億円=5倍

これは、現在の流通供給量1億枚に対し、総供給量が5億枚あることを示しています。

ただし、残りの4億枚すべてが、すぐに市場へ売却されるわけではありません。

また、FDVの計算には現在価格を使用します。

将来、すべての供給量が市場へ出たときの価格を予測した数字ではありません。

FDVが大きい場合は、今後の供給量の変化を確認するきっかけになりますが、それだけで割高・割安を確定できるわけではありません。

FDVが時価総額と同じなら安全?

FDVと時価総額が近い場合、計算に使用した供給量と現在の流通供給量に大きな差がない可能性があります。

しかし、将来の価格下落リスクがなくなるわけではありません。

例えば、供給量がほとんど増えないトークンでも、需要が減少すれば価格は下落します。

また、運営者が供給ルールを変更できる設計なのか、将来の発行条件がどうなっているのかなども確認する必要があります。

FDVと時価総額の差は、供給構造を理解するための指標であり、安全性の保証ではありません。

トークンのアンロックで価格と時価総額はどう変わる?

仮想通貨の情報を調べていると、「トークンのアンロック」や「ベスティング」という言葉を見かけることがあります。

ベスティングとは、チームや投資家などへ割り当てられたトークンを、一定の期間や条件に従って受け取れるようにする仕組みです。

アンロックによって市場で流通可能な数量が増えると、時価総額の計算にも影響する場合があります。

ただし、アンロックされたトークンがデータ提供元の基準で流通供給量へ算入されるかは、保有者や資金用途などによって異なります。

例① 価格が変わらず流通量が2倍になった場合

次の架空の条件を考えます。

  • アンロック前の価格:100円
  • アンロック前の流通供給量:1億枚
  • アンロック後の流通供給量:2億枚
  • アンロック後も価格は100円のまま

アンロック前の時価総額は100億円です。

アンロック後は次のようになります。

100円×2億枚=200億円

この条件では、流通供給量が2倍になり、時価総額も2倍になります。

しかし、時価総額が100億円増えたことは、100億円の現金が新たに流入したことを意味しません。

計算対象となる流通枚数が増えたため、現在価格を掛けた評価額が増えたということです。

例② 流通量が2倍になり、価格が半分になった場合

次に、同じアンロック後の流通量2億枚で、価格が100円から50円に下落したと仮定します。

時価総額は次のとおりです。

50円×2億枚=100億円

アンロック前と時価総額は同じ100億円になります。

ただし、アンロック前から保有していた利用者にとっては、1枚の価格が半分になっています。

つまり、時価総額が同じでも、保有者の損益は変わる可能性があります。

状況 価格 流通量 時価総額
アンロック前 100円 1億枚 100億円
アンロック後・価格変わらず 100円 2億枚 200億円
アンロック後・価格半減 50円 2億枚 100億円
アンロック後・価格20%下落 80円 2億枚 160億円

これは価格と流通量の関係を示す架空の計算例です。

実際のアンロック後の価格を予測するものではありません。

アンロックで価格は必ず下がる?

アンロックによって市場で売却できる数量が増えれば、売り圧力が高まる可能性があります。

しかし、価格が必ず下がるとは限りません。

例えば、アンロックされたトークンがすぐに売却されない場合や、同じ時期に新しい需要が増えた場合などがあります。

また、アンロックの予定が事前に公表されている場合、市場参加者がその影響を見込んで売買している可能性もあります。

したがって、アンロック予定数量だけでなく、受取人、配布目的、過去の取引状況、今後の発行予定などを確認する必要があります。

新規発行とアンロックは違う

アンロックと新規発行は同じではありません。

アンロックは、すでに存在するトークンの移転制限などが解除されることです。

一方、新規発行は、それまで存在しなかったトークンが新しく発行されることです。

アンロックでは総供給量が変わらない場合がありますが、新規発行では総供給量が増える場合があります。

ただし、発行・焼却・ロックの仕組みはプロジェクトによって異なります。

暗号資産の供給構造を確認するときは、現在の数量だけでなく、数量が変わる仕組みも理解しましょう。

時価総額が100億円増えたら、100億円の資金が流入したの?

時価総額について、もう一つ多い誤解があります。

それは、時価総額の増加額を、そのまま新しく投資された資金の金額として考えることです。

しかし、時価総額は市場価格を流通供給量全体に掛けた評価額であり、実際に投資された資金の合計ではありません。

少ない売買でも時価総額が大きく変わる場合がある

流通供給量が1億枚の架空のトークンを考えます。

最初の市場価格が100円なら、時価総額は100億円です。

その後、市場で成立した取引などによって、参考価格が110円になったとします。

流通供給量が同じなら、時価総額は110億円となります。

110円×1億枚=110億円

時価総額は10億円増えています。

しかし、1億枚すべてが110円で買い直されたわけではありません。

仮に、価格形成のきっかけとなった取引が110円で100枚の売買だったとすると、その取引の約定代金は11,000円です。

この例では、約定した金額と時価総額の変化が大きく異なっています。

実際の価格形成は複数の取引所や注文によって行われますが、時価総額の増加分がそのまま資金流入額ではないことを理解できます。

時価総額はプロジェクトが集めた資金でもない

時価総額が100億円の暗号資産だからといって、そのプロジェクトが100億円の現金を保有しているわけではありません。

また、開発チームが100億円の資金調達に成功したという意味でもありません。

トークン保有者が市場で売買する価格から計算した評価額と、プロジェクトの現金・収益・資金調達額は別です。

プロジェクトの財務状況を確認したい場合は、時価総額ではなく、公式の財務情報やトークンの配分、運営資金に関する開示などを確認する必要があります。

時価総額と出来高・流動性・板の厚さの違い

時価総額が大きい銘柄でも、希望する数量を希望価格で売却できるとは限りません。

そこで重要になるのが、出来高、流動性、板の厚さです。

指標 何を表す? 注意点
時価総額 価格×流通供給量による評価額 実際の資金流入額ではない
出来高・取引高 一定期間に成立した売買の数量・金額 新規資金の流入額とは限らない
流動性 価格を大きく動かさず売買しやすいか 市場や時間帯によって変わる
板の厚さ 各価格帯にどれだけ注文があるか 注文は取消・変更されることがある

出来高が多いほど資金が流入している?

出来高は、一定期間内に成立した取引を集計した数字です。

例えば、24時間の取引高が10億円だったとしても、その銘柄に10億円の新規資金が純流入したことにはなりません。

同じトークンが繰り返し売買された場合も、各取引は出来高に含まれます。

また、同じ金額の売買でも、買いたい人と売りたい人の注文が成立しているため、出来高そのものを一方向の資金流入と考えることはできません。

取引高は市場の活動状況を知る参考になりますが、売買のしやすさを完全に表す指標ではありません。

特に取引高が少ない市場では、表示価格から大きく離れた価格で約定する可能性があります。

時価総額100億円でも、100億円分を売却できるわけではない

例えば、1枚100円、流通供給量1億枚の銘柄なら、時価総額は100億円です。

しかし、保有者が大量に売却しようとすると、現在の買い注文だけでは数量が足りない場合があります。

次の架空の買い注文が並んでいるとします。

買い注文の価格 買いたい数量 約定代金の例
100円 1,000枚 100,000円
90円 4,000枚 360,000円
80円 5,000枚 400,000円
合計 10,000枚 860,000円

このとき、10,000枚を成行で売却し、表示されている買い注文がそのまま全て約定したと仮定します。

100円×10,000枚=100万円で売却できるように思えるかもしれません。

しかし、実際の売却代金は86万円です。

平均売却価格は次のとおりです。

860,000円÷10,000枚=86円

100円という表示価格から、平均14円低い価格で売却したことになります。

実際には注文の追加や取消、手数料、約定条件などによって結果は変わります。

この例は、時価総額が示す市場規模と、一度に売却できる金額が違うことを説明するものです。

注文方法による約定価格の違いについては、仮想通貨の指値・成行注文の違いで詳しく解説しています。

時価総額が大きくても流動性が低い場合がある

流通供給量が多く、表示価格も高ければ、計算上の時価総額は大きくなります。

しかし、実際に売買する人が少なく、注文板が薄い場合は、大きな注文で価格が動く可能性があります。

したがって、時価総額だけを見て「いつでも簡単に売却できる」と判断するのは危険です。

売却可能性を確認したい場合は、取引高、売買スプレッド、板の注文数量、利用できる取引所なども合わせて確認しましょう。

時価総額が大きい仮想通貨なら安全?

時価総額が大きい暗号資産は、一般に市場での認知度が高く、取引できる場所が多い場合があります。

しかし、時価総額だけで安全性を判断することはできません。

暗号資産では、市場全体が下落すると、大型銘柄でも価格が大きく下落する可能性があります。

また、プロジェクトやネットワークに問題が起きた場合は、時価総額の大小に関係なく影響を受けることがあります。

大型銘柄でも元本保証ではない

暗号資産の市場価格は変動します。

時価総額が大きい銘柄だからといって、購入した価格を下回らない保証はありません。

また、金融機関の預金と同じような元本保証が適用されるわけでもありません。

市場規模が大きいことは、確認する価値のある情報ですが、損失の可能性をなくすものではありません。

時価総額だけでは分からないリスク

時価総額では、次のような情報までは十分に分かりません。

  • 少数の大口保有者にトークンが集中していないか
  • 運営者が発行・停止・変更できる権限を持っているか
  • スマートコントラクトに不具合がないか
  • 実際の利用者やサービス需要があるか
  • 近い将来に大量のアンロック予定がないか
  • 取引所の板が薄く、大量売却が難しくないか
  • 発行者や事業者の財務・管理に問題がないか

例えば、ステーブルコインは比較的大きな時価総額を持つ場合がありますが、その安全性を調べる際は、発行者、裏付資産、償還条件なども重要です。

ステーブルコイン固有の仕組みは、ステーブルコインとは?種類・仕組み・リスクで確認できます。

CoinGeckoなどで時価総額と供給量を見る手順

暗号資産の時価総額を比較するときは、数字を一つだけ見るのではなく、関連する指標を順番に確認すると理解しやすくなります。

例えば、CoinGeckoでは暗号資産の価格、時価総額、供給量、取引高などを確認できます。

ただし、表示項目や掲載方法はサイトの更新によって変わる場合があります。

① 銘柄名・ティッカー・ネットワークを確認する

まず、調べたい暗号資産が正しい銘柄か確認します。

暗号資産では、同じティッカーを別のプロジェクトが利用している場合があります。

また、同じような名称やロゴのトークンが存在することもあります。

特に新しいトークンを調べる際は、プロジェクトの公式サイト、対応ネットワーク、コントラクトアドレスなどを照合しましょう。

② 価格と時価総額の通貨単位を確認する

暗号資産のランキングサイトでは、米ドル建てで価格や時価総額を表示している場合があります。

一方、日本国内の取引所では、日本円建ての価格が表示されることがあります。

米ドル建てと円建ての数字を、そのまま比較しないようにしましょう。

また、BTCやETHの価格は常に変動しているため、情報を比較する際は取得した時刻も確認してください。

③ 流通供給量と総供給量を比較する

時価総額を確認したら、次に流通供給量と総供給量を比較します。

例えば、流通供給量が1億枚、総供給量が5億枚なら、現在流通していると評価される割合は20%です。

1億枚÷5億枚×100=20%

残り80%がすべて将来市場に売却されるという意味ではありません。

しかし、現在の流通量以外に大量のトークンが存在していることは分かります。

そこで、チーム・財団・投資家向けの配分や、今後のアンロック予定を確認します。

④ FDVと使用されている供給量の定義を確認する

FDVが表示されている場合は、その計算に総供給量と最大供給量のどちらを使っているか確認します。

特に、総供給量と最大供給量が大きく異なる銘柄では重要です。

また、最大供給量が定められていない銘柄では、どの指標を使って将来の供給を評価しているか確認しましょう。

⑤ 24時間取引高と流動性を確認する

時価総額が大きくても、出来高が少ない銘柄では、大量売却時に不利な価格で約定する可能性があります。

取引高と売買スプレッド、取引所の板などを確認しましょう。

ただし、取引高の集計対象となる取引所や市場は、情報サイトによって異なる場合があります。

異常に大きな出来高が表示されている場合も、それだけで市場の健全性を判断しないことが大切です。

⑥ プロジェクトの公式資料で供給予定を確認する

最後に、プロジェクトの公式サイトや公開資料で、トークンの供給ルールを確認します。

特に、新規発行、バーン、アンロック、チームや財団への配分などが重要です。

情報サイトに表示された供給量と、プロジェクトの説明が異なる場合もあります。

その場合は、更新時点や算定基準の違いも確認しましょう。

暗号資産の一次情報を調べる方法は、仮想通貨の公式情報源と調べ方で紹介しています。

暗号資産の時価総額ランキングを見るときの注意点

時価総額ランキングは、複数の暗号資産の市場規模を比較する際に役立ちます。

しかし、情報サイトによってランキングが異なる場合があります。

理由の一つは、流通供給量の算定方法や、集計対象となるトークンの扱いが異なるためです。

同じ銘柄でもサイトによって時価総額が違うことがある

同じ暗号資産でも、データサイトによって流通供給量の判定や更新時刻が異なる場合があります。

そのため、価格が近くても時価総額が一致しないことがあります。

特に、チーム・財団が大量のトークンを保有するプロジェクトや、複数のチェーンでトークンを発行しているプロジェクトでは、供給量の定義が重要です。

ランキングを比較する際は、掲載順位だけでなく、価格・供給量・集計時刻を確認しましょう。

ラップトークンの二重計上に注意

暗号資産には、別のブロックチェーンで利用するために発行される「ラップトークン」があります。

例えば、元のチェーンで資産をロックし、別のチェーンで対応するトークンを発行する仕組みがあります。

このような仕組みでは、元の資産と、それを裏付けにしたラップトークンが存在します。

両方の時価総額を単純に合計すると、同じ経済的価値を重複して数える可能性があります。

CoinGeckoは、ブリッジされたトークンやラップトークンの供給量を追跡する一方、二重計上を避けるため、これらを暗号資産市場全体の時価総額から除外する取り扱いを説明しています。

参考:CoinGecko「Supply Update FAQ」

市場全体の時価総額を比較するときは、どのようなトークンを合計対象に含めているかも確認しましょう。

時価総額ランキングは将来性ランキングではない

時価総額ランキングは、原則として価格と流通供給量から計算した現在の市場規模を並べたものです。

将来の値上がり率、技術力、利用者の満足度、安全性を順位付けしたものではありません。

また、時価総額上位の銘柄が将来も同じ順位にとどまる保証はありません。

ランキングは比較の出発点として使い、プロジェクトの仕組みやリスクを別に確認することが重要です。

仮想通貨の時価総額・流通量・FDVに関するよくある質問

Q. 1枚1円の仮想通貨は割安ですか?

1枚の価格だけでは判断できません。

1円でも流通供給量が200億枚あれば、時価総額は200億円です。

価格と供給量を掛け合わせて市場規模を確認しましょう。

Q. 時価総額が100億円増えたら、100億円の資金が流入したのですか?

いいえ。時価総額は現在価格に流通供給量を掛けた評価額です。

価格の変動や流通供給量の増加によって時価総額が増えても、その増加額と同額の新規資金が流入したとは限りません。

Q. 時価総額100億円の仮想通貨は、100億円で売却できますか?

時価総額は、流通供給量全体を現在価格で評価した金額であり、実際に一度に売却できる金額ではありません。

大量に売却しようとすると、板の厚さや買い手の状況によって価格が下落する可能性があります。

Q. 流通供給量と総供給量はどちらを見ればよいですか?

どちらも役割が異なります。

現在の時価総額を計算するには流通供給量を使います。

一方、すでに発行されている数量や、まだ流通していない可能性があるトークンを調べるには総供給量も確認します。

Q. 最大供給量が表示されていない銘柄は危険ですか?

最大供給量が表示されていないという理由だけで、危険とは判断できません。

発行上限を設けない仕組みの暗号資産もあれば、情報サイトに上限データが登録されていない場合もあります。

プロジェクトの公式資料で発行ルールを確認しましょう。

Q. FDVは必ず最大供給量を使って計算しますか?

いいえ。総供給量を使う定義と、最大供給量を使う定義があります。

例えば、価格100円、総供給量5億枚、最大供給量10億枚なら、評価額はそれぞれ500億円と1,000億円です。

掲載サイトがどの数量を使用しているか確認してください。

Q. アンロックで流通量が2倍になったら価格は半分になりますか?

必ず半分になるわけではありません。

価格は売買の需要と供給によって変わります。

アンロックされたトークンがすぐに売却されるとは限らず、新しい買い需要が増える場合もあります。

価格を予測する際は、供給量だけでなく市場の状況も確認する必要があります。

Q. バーンすると価格は上がりますか?

バーンによって、総供給量などが減る場合があります。

しかし、価格の上昇が保証されるわけではありません。

バーンの方法や数量、需要、流通状況などによって影響は異なります。

Q. 時価総額が大きい仮想通貨は安全ですか?

時価総額が大きくても、価格下落、取引所の問題、技術的な不具合、流動性の低下などのリスクがあります。

市場規模は比較材料の一つですが、元本や将来の利益を保証するものではありません。

Q. 24時間取引高が時価総額より大きいことはありますか?

あります。

時価総額はある時点の評価額であり、取引高は一定期間に成立した売買の合計です。

同じトークンが短時間に繰り返し売買されることもあるため、取引高が時価総額を上回る場合があります。

ただし、その数字だけで取引の健全性や流動性の高さを保証できるわけではありません。

まとめ|時価総額は供給量・FDV・流動性と一緒に確認しよう

仮想通貨の時価総額は、現在の価格と流通供給量から計算する指標です。

1枚の価格が安い銘柄でも、流通供給量が多ければ時価総額は大きくなります。

また、供給量には流通供給量・総供給量・最大供給量があり、それぞれ異なる情報を表しています。

時価総額を見るときは、次の点を確認しましょう。

  • 価格:1枚当たりの価格だけで割安性を判断しない
  • 流通供給量:現在の時価総額を計算するための数量
  • 総供給量・最大供給量:すでに存在する数量と将来の発行上限を区別する
  • FDV:総供給量と最大供給量のどちらを使った数値か確認する
  • アンロック:流通供給量が増える可能性と、価格変動を分けて考える
  • 出来高・流動性:実際に売買できる数量と価格を確認する
  • 安全性:市場規模だけでなく、プロジェクトの仕組みや管理体制も調べる

特に重要なのは、時価総額を「実際に投資された資金」や「全保有者が売却できる金額」と混同しないことです。

暗号資産を比較する際は、CoinGeckoなどで価格・供給量・FDV・取引高を確認し、必要に応じてプロジェクトの公式資料も調べましょう。

ビットコインの供給上限と新規発行の仕組みは、ビットコインの半減期とは?で詳しく解説しています。

また、暗号資産の情報源を調べる際は、仮想通貨の公式情報源と調べ方も参考にしてください。

この記事は暗号資産の市場指標を理解するための一般的な情報であり、特定銘柄の購入や将来の価格上昇を勧めるものではありません。

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